最近、大豆製品のラベルでよく見かける『大豆(分別生産流通管理済)』や『大豆(遺伝子組換え混入防止管理済)』といった表示。
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一体この表示はなに?そしてどんな意味?と疑問に持つ方も多いと思います。
こんにちは。
食品業界の開発職としての経験は10年以上、現役開発職の、ヒゴです。
この記事では、『分別生産流通管理済』や『遺伝子組換え混入防止管理済』のような遺伝子組換えに関する表示について解説していきます。
食品の表示を正しく理解することは、食品を選択する上で重要なことなので、しっかりと勉強していきましょう!
・「分別生産流通管理済み」表示の意味
・遺伝子組換えに関する表示方法
・2023年3月31日までの旧制度と新制度の比較
結論
『分別生産流通管理済』や『遺伝子組換え混入防止管理済』といった表示は、遺伝子組換え作物の割合を示す表示です。
対象となる作物は、大豆ととうもろこしの2種類で任意表示となります。
具体的な遺伝子組換え作物の割合と表示をまとめると下記となります。
表示例 | 義務or任意表示 | 遺伝子組換え混入率 |
---|---|---|
遺伝子組換え | 義務表示 | 100% |
遺伝子組換え不分別 | 義務表示 | 5%超 or 不明 |
分別生産流通管理済み 遺伝子組換え混入防止管理済 IPハンドリング済み IP管理済み | 任意表示 | 5%以下 |
遺伝子組換えでない 非遺伝子組換え | 任意表示 | 0% |
※IP(Identity Preserbed)は、「分別生産流通」と同じ意味です。
次に遺伝子組換え技術や表示方法について詳しく説明していきます。
遺伝子組み換え技術とは?
遺伝子組換え技術とは、作物の中に新しい遺伝子を加えたり、元々あった遺伝子を変えたりすることです。
この技術により、病気に強い特性が得られたり、収穫量を増やしたりすることができるようになりました。
遺伝子組換え技術のおかげで安定して作物が供給できるのかもしれないね。
すごい技術だけど、遺伝子を変えるってなんだか怖いわ。デメリットはないのかしら?
遺伝子組換え技術は未知な部分が多いですが、健康や環境に与える潜在的なリスクがあると考えられています。
そのため日本では、遺伝子組換え作物が使用されている製品について、その旨を明確に表示する義務があります。
これは消費者が遺伝子組換え食品を避けるために必要な情報を提供することが目的です。
表示する義務があるってことは、私たち自身でしっかりと表示を確認して食品を選択する必要があるってことだね。
食品の表示って難しいけど、自分に合った食品を選択をするために知っておいたがよさそうね。
遺伝子組換え表示に関する解説
遺伝子組換え表示には「義務表示」と「任意表示」がありますが、対象となる作物が異なる点に注意しましょう!
大豆、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ、からしな
・任意表示の対象作物:下記2種類
大豆、とうもろこし
遺伝子組換え(混入率100%):義務表示
分別生産流通管理による区別を行い、遺伝子組換え農産物を使用する場合、「大豆(遺伝子組換え)」のように表示する必要があります。
難しい漢字が多すぎて、理解するのが難しいわ。涙
初心者にも分かるようにもう少し噛み砕いて説明していきます。
「遺伝子組換え農産物」と「遺伝子組換えでない農産物」を生産(農場)、包装、流通(トラックやコンテナ)、加工(食品製造工場)の各段階で確実に分けて管理され、書面によって証明されていることを指します。
つまり「遺伝子組換え」と分かっている農産物を使用した場合、その旨を表示する義務があるということです。
遺伝子組換え不分別(混入率5%超 or 不明):義務表示
分別生産流通管理をして意図せざる混入が5%超の場合、または分別生産流通管理をせずに遺伝子組換え農産物と遺伝子組換えでない農産物を区別をしていない場合、「遺伝子組換え不分別」と表示します。
分別生産流通管理が適切に行われた場合でも、遺伝子組換え農産物の一定の混入は避けられないことがあります。
例えば「遺伝子組換えでない」大豆を流通する際、コンテナ内に過去に運んだ遺伝子組換え大豆が残っている可能性は否定できません。100%混入の可能性がないと書面で証明できなければ「遺伝子組換えでない」と証明することはできないのです。これを「意図せざる混入」といいます。
分別生産流通管理済み(混入率5%以下):任意表示
分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えた場合、「大豆(分別生産流通管理済み)」のように任意で表示できます。
下記に表示可能な文言をまとめます。
・分別生産流通管理済み
・遺伝子組換え混入防止管理済み
・IPハンドリング済み
・IP管理済み
遺伝子組換えでない(混入率0%):任意表示
分別生産流通管理をして、遺伝子組換えの混入がないと認められる場合、「大豆(遺伝子組換えでない)」のように任意で表示できます。
生産(農場)、包装、流通(トラックやコンテナ)、加工(食品製造工場)のすべての工程で遺伝子組換えの混入がないという証明書(分別生産流通管理証明書)や第三者分析機関による分析により遺伝子組換えでないことを証明しておく必要があります。
証明書類を準備したり、分析したりするとかなりお金がかかりそうだね。
管理する手間が多い分「遺伝子組換えでない」という表示は価値が高いということなんだね。
過去の表示方法との比較
任意表示について2023年4月1日から新制度に移行したことにより、「分別生産流通管理」のように新しい表示が出てきました。
表示の文言は難しくなりましたが、制度改正により、遺伝子組換え作物の使用率がより詳細に区別できるようになりました。
遺伝子組換えに関して、過去の制度と比較したのが下記となります。
旧制度 ~2023年3月31日 | 新制度 2023年4月1日~ | 遺伝子組換え混入率 |
---|---|---|
遺伝子組換え | 遺伝子組換え | 100% |
遺伝子組換え不分別 | 遺伝子組換え不分別 | 5%超 or 不明 |
遺伝子組換えでない 非遺伝子組換え | 分別生産流通管理済み 遺伝子組換え混入防止管理済 IPハンドリング済み IP管理済み | 5%以下 |
遺伝子組換えでない 非遺伝子組換え | 遺伝子組換えでない 非遺伝子組換え | 0% |
過去の表示は「遺伝子組換え、不分別、遺伝子組み換えでない」の3パターンで、遺伝子組換え作物の意図しない混入が5%以下でも「遺伝子組換えでない」と表示可能でした。
新制度への移行により、意図しない混入が5%以下と0%が明確に区別できるようになりました。
新制度により混入率がより詳しく分かるようになったことはありがたいね。
消費者としては表示を見て、選択肢が広がりそうだね。
まとめ
この記事では、「分別生産流通管理済」「遺伝子組換え混入防止管理済」表示の意味について解説しました。
各表示における遺伝子組換え農産物の混入率をまとめると下記のようになります。
表示例 | 義務or任意表示 | 遺伝子組換え混入率 |
---|---|---|
遺伝子組換え | 義務表示 | 100% |
遺伝子組換え不分別 | 義務表示 | 5%超 or 不明 |
分別生産流通管理済み 遺伝子組換え混入防止管理済 IPハンドリング済み IP管理済み | 任意表示 | 5%以下 |
遺伝子組換えでない 非遺伝子組換え | 任意表示 | 0% |
2023年4月1日から新制度へ移行したことにより、混入率が5%以下と0%が明確に区別できるようになりました。
以上、この記事がみなさんが食品を選択する際の参考になれば幸いです。
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