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【元調香師の実体験】フレーバーリストの仕事内容と就職/転職方法を解説

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調香師(以下、フレーバーリスト)と聞くと、香りを作り出す華やかな仕事というイメージがあります。

しかし具体的にどのような仕事をしているのでしょうか?

フレーバーリストの仕事は、顧客の求めるフレーバーを調香することが主な業務ですが、実はそれだけではありません。

 

こんにちは。

食品業界の開発職としての経験は10年以上、現役開発職の、ヒゴです。

 

この記事では、元フレーバーリストとしての経験からフレーバーリストの具体的な仕事内容を解説します。

またフレーバーリストを目指すにはどこに就職をすればよいのかについてもあわせて解説します。



 

フレーバーリストの仕事内容

フレーバーリストの具体的な仕事内容は下記です。次にそれぞれの仕事内容を詳しく見ていきましょう。

目標となる香り探し/分析
調香
フレーバー評価
取引先提案/改良
製造/品質確認

 

香りのターゲット確認

まずは顧客が求める香りのすり合わせを行います。

具体的な香りのターゲットを顧客から提示される場合もありますし、抽象的なイメージのみ伝えられる場合もあります。

重要なポイントは、顧客が求める香りとあなたの香りのイメージをどこまで近づけられるかです。

 

例えば「いちご」の香りを思い浮かべてみましょう。

 

同じ「いちご」であっても私とあなたで思い浮かべた香りは、当然異なります。

 

甘酸っぱいフレッシュないちご

熟した感の強いいちご

いちごジャムのような加熱されたいちご

 

単に「いちご」といっても様々なイメージの膨らませ方があります。

そのため顧客が求める「いちご」をより具体化させ、共通認識を持ってから調香に取り組むことが重要です。

 

参考までに「いちご」表現方法の一例を下記に記載しています。

香りを表現する言葉を知っておくことは、フレーバーリストにとって重要なので、覚えておくと良いでしょう。

加工度合い:生いちご、いちごジャム
熟成度合い:もぎたていちご、熟成いちご
風味:甘い、酸っぱい、青い(未熟な)
品種:とちおとめ、あまおう、紅ほっぺ

 

またターゲットとなる香りの特徴をより詳細につかむために、分析を利用する場合もあります。

よく利用されるのがガスクロマトグラフィー液体クロマトグラフィーを用いて、ターゲットとなる香り成分の種類と量を分析する方法です。

そのため分析機器に関する知識があると、業務に活かすことができます。

ただし、分析ですべての香り成分を検出できるわけではないので、フレーバーリストが検出されていない香り成分を補って調香する必要があります。

 

調香

香りのターゲットや分析結果をもとに香料の処方(レシピ)を作成します。

原材料の選定や配合量をすべてゼロから検討するのは非常に難しく時間がかかるため、過去の処方を参考に試作品の配合を決めることが多いです。

 

処方が決まったら、香りを調合していきます。

複雑な香りの場合、100種類ほどの香り成分を計量する必要があるため、調香だけで1時間ほど要することもあります。

微量を量り取る技術や根気強さがいる作業です。

 

香料の評価

香料の評価は状況に応じて下記のような評価方法を組み合わせます。

・香料を試香紙(細長い紙)に付着させ、直接嗅ぐ方法
・水で希釈した香料を口の中に含み、鼻に抜ける香りを評価する方法
・食品に香料を入れ、実際に食べて評価する方法

評価は個人で行うことが基本ですが、部署内の他の方に評価をしてもらうことが特に重要だと思います。

他の人に評価してもらうことで、自分一人では気づかない点のアドバイスをもらったりできるので、視野を広げたい時に有効です。

 

また評価を実施する時間帯は、午前中が多いです。午前中は比較的、鼻が外からの刺激(香り)を受けていないため、香りの違いを敏感に嗅ぎ分けやすいと言われています。

一方で、午後は鼻が多くの刺激(香り)を受けているため、微妙な香料の嗅ぎ分けには向いていません。

 

取引先への提案と改良

フレーバーリストの仕事の中で最重要かつ高難易度なのが香料の改良です。

香料の表現方法は、同じ香料であっても異なり、香りの共通認識を持つことが難しいことが理由です。

年齢、性別、時間帯といった多くの要素が香りの感じ方に影響します。

更に顧客側もどのように香料を表現していいのか分からないので、具体的な改善の指示を出すことは困難です。

 

そのため、同じ場所で同じ香りを顧客と評価し、直接、香料の評価を聞く、つまり評価条件の一部を同様にすることが重要だと言えます。

 

香料の評価を顧客とすり合わせる場合、香料を3つのパートに分けて確認すると良いでしょう。

香料成分は、揮発する速度によって下記の3つのパートに分けられます。

トップノート(香り立ち):揮発速度早い
ミドルノート(ボディ):揮発速度普通
ラストノート(余韻):揮発速度遅い

香料をトップ、ミドル、ラストに分けることによって、顧客側も各部分の良し悪し、改善点を判断しやすくなるはずです。

 

製造や品質確認

香料の製造は混合することがメインのため、多くの場合、複雑な製造工程はありません。

しかし調合する原材料が多いこと、また配合量が微量である為、製造現場でのミスもありえます。

自分で調合した香料と製造された香料に違いがないことを確認の上、出荷許可を出しましょう。



 

フレーバーリストになるには?

王道!香料メーカー就職

フレーバーリストになるには、香料メーカーの研究開発職という狭き門を通過する必要があります。

また選考時もしくは入社後に「香りの選別テスト」もあり、香りに長けている人材の選別も行われます。

企業側としては、「細かい香りの違いを嗅ぎ分けられる人材 = フレーバーリスト候補」という認識がある為、選考は入念です。

ごく当たり前の回答になってしまいますが、新卒で香料メーカーの研究開発職として採用されることがフレーバーリストへの第一歩となります。

 

香料メーカー就職以外の方法でフレーバーリストになる方法

私は香料メーカーへ就職せずにフレーバーリストになった経験があります。

私も皆さんと同じように香料メーカーへの就職を目指し活動をしていました。

香料メーカーの場合、化学専攻者は選考を通過しやすい傾向があります。

当時、生物専攻だった私は、ことごとく香料メーカーの選考に落とされ途方に暮れていました。

専攻だけが落とされた理由ではなかったかもしれませんが、、、

それでもフレーバーリストへの夢が諦めきれない私は、「食品添加物メーカー」への就職を目指しました。

理由としては、次の3つです。

食品添加物メーカーの中に香料開発部門が存在していること
食品メーカーであれば生物系の専攻を活かしやすいこと
研究開発職として採用されれば、異動で香料部門を目指せること

最終的に私は食品添加物メーカーに就職し、最初は別の研究部門に配属されました。

しかし「香りの選別テスト」にも積極的に取り組み、香料部門への異動を強く要望した結果、晴れてフレーバーリストとなることができました。

私がフレーバーリストになるまでをまとめると以下のようになります。

STEP1 香料の取り扱いがある企業(香料メーカー、食品添加物メーカー)の調査
STEP2 各自の専攻と関連する企業の研究開発職として就職
STEP3 香料開発部門への異動条件確認(香りの選別テスト○点以上など)

特殊なケースの為、このようなルートでフレーバーリストになれる可能性は限りなく低いかもしれませんが、ゼロではありません。

まずは、香料を扱っているメーカーへの就職を目指しましょう。

 

 

まとめ

この記事では、フレーバーリストの仕事内容について解説しました。

主な業務の流れとしては、下記です。

目標となる香り探し/分析【重要】
調香
フレーバー評価
取引先提案/改良【最重要】
製造/品質確認

この中でも目標となる香りのすり合わせと香料の改良の難易度が高いことを説明しました。

理由としては、あなたと顧客で香りの表現方法が異なるためです。

あなたと顧客の間で香りに関する共通認識(言語)を確認しながら開発を進めることが重要です。

 

次にフレーバーリストになる方法を私の実体験をもとに解説しました。

香料メーカーに就職できなかった私は食品添加物メーカーに就職し、最初は別部門への配属されました。しかし香料部門へ異動する条件(香りの選別テスト合格)を満たすことでフレーバーリストとなった経験があります。

香料を扱っているメーカーへ入社することがはじめの一歩です。

険しい道かもしれませんが、入社後の頑張り次第でフレーバーリストへの道は開けるでしょう。

以上、この記事がフレーバーリストを目指す方にとって有用であれば幸いです。

 

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